重症疾患と乳酸アシドーシス
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重症患者の乳酸アシドーシスに関係する知識の現状をまとめてみよう.乳酸代謝障害の分類と病因と対応を調査する.ショックの代謝モニターとしての乳酸の有用性も検討する.乳酸アシドーシスの障害を受けている患者をどう治療すべきか,最新の現代の治療手法を広く検討する.
重症患者での乳酸アシドーシスの重篤度は,全身の酸素負債と密接に関連し,患者の生存率に直接関係する. 乳酸イオン測定は,蘇生の際に全身の血流が良好かを判定するモニターとして有用である. 重症患者に乳酸アシドーシスを伴う場合,酸素配達(Cao2 ×Q)を最大にするよう努力すべきである.心係数を増大させ,同時にヘモグロビン濃度を維持する.それによって,組織ハイポキシアを減少できる. ショックによる乳酸アシドーシスを,緩衝薬物で酸塩基平衡だけ正常化しても,患者の生死の最終結果に有効という証拠はない. その他,乳酸アシドーシスを軽くするだけの治療法も,真の有効性は証明されていない.
[結論] 乳酸アシドーシスと酸素負債は直接関係している.治療は,組織の酸素化を改善することである.アルカリ化薬物を使用してアシドーシスだけを補正して,酸塩基平衡を正常化しても意義はない. Lactic acidosis in critical illness. Mizock BA, Falk JL. Crit Care Med. 20(1):80-93,1992.
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諏訪邦夫
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