電子版麻酔学教科書

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  人工呼吸からのウィーニングの結果予測 #8
投稿者  諏訪邦夫
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投稿日時  2001年02月11日 16時25分
人工呼吸からのウィーニングの結果予測

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ウィーニングの成否を予知する指標としては,いろいろなパラメ−タ−が提案されているが,決定的なものはない.分時換気量や最大吸気圧は信頼性が低く,どうみても“優秀な指標”とはいえない.そこであらたに検討した.

測定項目としては,従来のパラメ−タ−以外に,特に新しく作ったものが二つある.


浅い速い呼吸(頻浅呼吸)の指標として,f/VT(呼吸数/一回換気量)をとる.
CROP(C:コンプライアンス,R:呼吸数,O:Pao2 ,P:最大吸気圧の4つの積)を計算する.

研究の手順

まず連続36例のデータを基に判別関数を作成する.つぎに,この判別関数を別の連続64例に当てはめて,適合性を評価した.

[解析]
“感度”:実際にウィーニングが成功例で,ウィーニング成功を予測した率.
“特異性”:ウィーニング成功を予測した例で,実際にウィーニングが成功した率.

[結果]
感度が最高なのは最大吸気圧で,数値は1.0,つまり,このパラメーターがよければ,必ず成功する.ついでf/VTが0.97と高かった.
特異性は f/VTが0.96と高く,最大吸気圧は0.11と最低だった.つまり,最大吸気圧が低くても成功する例が多数ある.
ウィーニング成功の予測力はf/VTが最高であり,ウィーニング失敗の予測力は最大吸気圧が最高だった.
感度と特異性の双方を総合評価する指標をとってみても,f/VTが良好で,複雑なCROPよりも優れていた.もちろん,最大吸気圧や分時換気量より優れていた.

[結論]
人工呼吸からのウィーニングの成否を予測する指標としては,頻浅呼吸を示すf/VT(呼吸数/一回換気量)が優れている.

文献:
A prospective study of indexes predicting the outcome of trials of weaning from mechanical ventilation Yang KL, Tobin MJ. NEW ENGL J MED. 1991,324:1445-1450


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諏訪邦夫

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