電子版麻酔学教科書

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  重症患者の動脈血酸素状態をコンピュータプログラムで解析する #6
投稿者  諏訪邦夫
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投稿日時  2001年02月11日 16時23分
重症患者の動脈血酸素状態をコンピュータプログラムで解析する

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[目的]
コンピュータプログラムを使用して,血液分析からできるだけ多くの情報を得ることを試みる.使用するプログラムは Siggaard-Andersen のいわゆる“OSA”.

[測定項目]FIo2 ,動脈血血液ガス,Sao2 の直接測定

[対象]115の動脈血

[方法]
血液ガス分析値の他に,ヘモグロビン・メトヘモグロビン・一酸化炭素ヘモグロビンの測定値

[解析]
OSAから推定する項目はP50,2,3DPG濃度,シャント率,心拍出量と酸素消費が正常と仮定した混合静脈血の酸素化パラメーター,
酸素配達(Do2:Oxygen Delivery),酸素消費(Vo2: Oxygen Consumption ),組織酸素化(このパラメーターは説明).

[結果]
Sao2 が97未満の場合,上記のパラメーターは上のデータだけで充分正確に計算できる.
ただし,ICUで患者のケアにあたって,FIo2 を高くしたり循環のことを注意した場合,Sao2 <0.97という条件は達成できないこともある.
この際に,同時採血した静脈血があると,Sao2 >0.97でも計算が可能になる.
実測と比較したわけではないが,OSAのアルゴリズムによる2,3DPGはなかなかいい線をいっている.
重症患者の酸素解離曲線は右方移動している場合が多い.
OSAが規定している(“提案している”というべきか)Po2 uv- と CQ というパラメーターはそれなりに有用なようである.ただし,心拍出量や酸素消費の変化が急速な場合は問題がある.

[結論]OSAはそれなりに有用である.

抄者註:このプログラムは
Siggaard-Andersen の“OSA”で,1990年の長野市の日本麻酔学会総会で作者が詳しく述べている.改訂版は単位などが使いやすい.Radiometer 社から入手可能である.IBM互換機で動く.

The oxygen status of the arterial blood in the critically ill. Tulli G, Vignali G, Guadagnucci A, Mondello V. Scand J Clin Lab Invest Suppl. 107-18,1990


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諏訪邦夫

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