電子版麻酔学教科書

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  回復室の悪心・嘔吐 #6
投稿者  諏訪邦夫
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投稿日時  2001年02月11日 16時34分
回復室の悪心・嘔吐

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悪心と嘔吐の原因は単一ではない.


麻酔薬
エーテルは悪名たかかった.
笑気も,データとしてはおこしやすい.ただし,現代の全身麻酔で笑気を使用しない麻酔はほとんど存在しない.
笑気をハロゲン(ハロセン,アイソフルレン)と組合せた方が,笑気を静脈麻酔薬や硬膜外麻酔と組合せた場合より発生しやすい.

手術の種類
頭蓋内手術・開腹手術・口腔や喉頭の手術でおこりやすい.
扁桃腺の手術は頻度が高い.

腹部の膨満
液体またはガス:胃カテーテルを留置して頻回に吸引しておくと頻度が低下する.
輸液が多過ぎれば,胃液の分泌も多くなる.

術中の状態
低血圧,ハイポキシア,炭酸ガス貯留のエピソードなどがあると発生しやすい.
手術終了時にむやみに刺激すると発生しやすい.身体の刺激でも,声の刺激でも.

処置:
回復室では側臥位に保つ(吐物が誤飲されないように).
制吐薬:プリンペランが標準的で,それなりの効果はある.

予防
胃内容の吸引:手術中にカテーテルを入れておく.
輸液は適正に:むやみに大量の輸液を与えないこと.
麻酔はなるべく上手に
麻酔の覚醒がゆっくりな方が悪心・嘔吐は少ないらしい.
吸入麻酔薬からの覚醒では笑気を使用していない場合の方が少ないとも言う.
つまり,笑気+ハロゲン系麻酔薬で,手術の終わり際にハロゲン(例えばセヴォフルレン)を切ってしまって,笑気だけ投与するのでなくて,逆に笑気を切っておいて,セヴォフルレン+酸素で最後まで維持する.
なお,エフェドリンに制吐作用があるという報告は,その後他の追試などがほとんど出ていないので,判定はむずかしい.
術後の悪心嘔吐とエフェドリンの効果


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諏訪邦夫

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