手術室から回復室迄の移動の危険
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概念: 手術室から回復室まで,あるいは手術室からICUまでの移動には,それなりの危険が伴う. 患者の状態は安定していないまま,モニターはほとんど外れてしまい,監視に当る筈の医師やナースが「運搬」の方に気をとられてしまうことも多い.
基本: 「すぐそこ迄の移動だから」といって手抜きをしない! たとえば,明かに低換気とハイポキシアの不安があれば,酸素投与や人工呼吸を行いながら移動するなど.患者の循環系に不安があれば,少なくとも心音を聴取しながら移動
実際: 移動時に麻酔医ができることがいくつかある 移動を開始する直前まで,マスクを密着して,患者の肺を100%酸素で満たしておく.そのために,ヘッドストラップでマスクをつけておく.こうすれば,手が塞がらないで,チャートをつけたりが可能. 移動には,もちろん麻酔医がついていく. 麻酔医は,麻酔チャートなどを手に持たないこと.手は万一に備えて空けておく. 一方の手で患者の下顎を支え,その手のひらで患者の呼気を感じながら移動するのは,簡単なやり方で利点が大きい. 胸壁聴診器を使っていたら,それは回復室到着まではずさない.
キーワード:心音モニタ−,酸素投与,人工呼吸
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諏訪邦夫
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