電子版麻酔学教科書

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  回復室での筋弛緩作用の残存 #21
投稿者  諏訪邦夫
URL  
投稿日時  2001年02月11日 16時52分
回復室での筋弛緩作用の残存

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現象の概念:
筋弛緩薬の作用が術後迄残存すること.筋弛緩モニターを使用すれば,ある程度は防げるが,モニターも万能ではない.
特に起りやすい条件として
全身状態不良の患者
腎障害と肝障害
電解質異常
低体温
等である.

確認:
換気を見ることも重要
基本的には筋弛緩そのもののモニタ−が必要
四連法などで作用の残存をチェックする.
「頭を挙げる」「手をしっかりにぎる」などの古典的な徴候は,これができれば4連法の数値以上に信頼度が高い.

治療:基本は
人工呼吸の継続
上記の異常の修正
循環の改善
電解質の補正
体温の正常化
などである.


行ってはいけないこと:
ネオスティグミンの追加投与にたよることは不可である.
ネオスティグミンの半減期はたった1時間である.長時間手術では,蓄積した筋弛緩薬より先にネオスティグミンが消失することもある.

蛇足:
ベクロニウムは,1997年の時点で標準的に使用する筋弛緩薬である.この薬物は,肝による代謝が一次の解毒だから,肝障害患者への使用には注意を要する.しかし,腎障害患者への使用にも同様に注意を要する.理由は,代謝産物に筋弛緩作用があり,大量に蓄積すれば臨床的に重大なトラブルを発生する危険がある故である.

キーワード:
腎障害,肝障害,電解質異常,体温下降,筋弛緩モニタ−,四連法,ネオスティグミン


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諏訪邦夫

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