電子版麻酔学教科書

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  体温の異常 #18
投稿者  諏訪邦夫
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投稿日時  2001年02月11日 16時43分
体温の異常

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概念:
体温の異常は,上昇も下降も回復室滞在中に処置してしまうことが望ましい.
一般病棟ではモニター機器も処置の器具も,回復室ほどには備わっていない.たとえば,加温や冷却用のブランケットをもたない病室も少なくない.病室の医療担当者も,体温管理に慣れていない.

加温:
加温のみなら家庭用の電気毛布も有用.“ベアハッガー”と称する温風器は,もちろん有用.赤外線で加温する型のものも有用.
体温下降への処置は,他に重大な合併症を伴わなければ急がなくてよい.呼吸循環に注意しながらゆっくりとあたためる.血液や輸液の加温・吸入気の給湿(特に加温タイプの給湿器使用)も有効である.
血液・輸液の加温は,循環や代謝を活発化して体温を上げる効果もあるので,作用は一通りでない.
体温が常温より数度も低い場合,最初の0.5度か1度上げるのに,骨が折れて時間がかかるのが通例である.一度上昇が始まると,あとは速い.

冷却:
体温上昇の処置は,急ぐ必要がある.
悪性高熱の可能性もあり,たとえ悪性高熱でなくても障害が大きいからである.
ブランケット.
多数の氷嚢.

小児なら,ガーゼで巻いてアルコールを散布して,蒸発熱で冷却する.
薬物
ドロペリド−ル(2.5〜5mg)
クロ−ルプロマジン(血圧に注意しながら,1〜10mg静注)

蛇足:
私の馴染みのニューヨーク,コロンビア大学のプレスビテリアン病院は,アメリカでは超一流病院とされるが,驚いたことに体温測定に手術室では摂氏を,回復室では華氏を使っていた.1984年に驚いたが,1992年でも同じだった!手術室は医師が管理し,回復室はナースが管理することが理由だという.


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諏訪邦夫

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 体温の異常 - 諏訪邦夫 [#18] 2001/02/11 16:43



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