電子版麻酔学教科書

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  ダントロレン #7
投稿者  諏訪邦夫
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投稿日時  2001年02月11日 19時56分
ダントロレン

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一般名ダントリウムdantrium.

一応筋弛緩薬に分類されるが,正確には作用機序も使用場面も,他の筋弛緩薬とはまったく異なる.


作用:
作用は骨格筋の筋膜を通過して,筋小胞体 sarcoplasmic reticulum からのCaイオン遊離を抑制する.これにより筋肉の興奮収縮連関(excitation-contraction coupling)を阻害して,筋弛緩効果を現わす.

用途:
元来,脳性麻痺などの筋剛直に使われたが,近年悪性高熱に特効のあることが判明した.

悪性高熱への使用
予防的に使用するなら,1mg/kg程度から.
すでに発熱などの症状がでていれば,5mg/kg程度を15分毎に体温下降がはじまるまで反復する.通常量は,7mg/kg程度が極量であるが,悪性高熱は直接生命にかかっわるので,この量を超過してよい.
悪性高熱は稀な障害なので治療成績は少ない.しかし,権威筋の意見は非常に有効としている.動物実験での有効性は確立している.

蛇足:
極量を7mg/kgとするのは,根拠は薄弱らしい.ある7例の治療シリーズでたまたま最大量が7mg/kgで有効だったことによるという.しかし,動物実験ではもっと大量に使用した報告,大量投与ではじめて効果のあった実験,大量投与して合併症はなかった報告などがある.

キーワード:筋小胞体,興奮収縮連関,悪性高熱


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諏訪邦夫

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