電子版麻酔学教科書

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  不整脈・期外収縮の対応と抗不整脈薬の種類と量 #35
投稿者  諏訪邦夫
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投稿日時  2001年02月11日 20時20分
不整脈・期外収縮の対応と抗不整脈薬の種類と量

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原因:
患者自身のもつ疾患・病態によるものが多い.その他に発生を促す条件としては
血液ガスの異常
循環動態の異常:とくに高血圧
冠状動脈血流障害
自律神経活動の異常
電解質レベルの異常
麻酔薬:ハロゲン系麻酔薬は多少とも促す作用
外からのアドレナリン投与

検出:
EKGモニタ−が最有力.まれにはパルスオキシメーターのプレティスモグラフや,動脈血圧波形からも

対応:
上記の各問題の正常化を図ること.
単純に麻酔を深くしただけで消失する不整脈もある.ハイポキセミアの現われの場合もある.したがって,そうした可能性を考えて対応する.
それでだめなら抗不整脈薬を使用する.

記録:
不整脈・期外収縮の発生した場合は紙に記録しておくこと.時間や状況も記録すればさらによい.

抗不整脈薬として使う薬物
キシロカイン,プロカインアマイド
βブロッカー(プロプラノロール,セクトラル)
不整脈の処置フセイミャクarrhythmia
不整脈は麻酔開始前に発見されたものと,麻酔中に発生したものとで対応がやや異なる.麻酔開始前なら原因と循環動態への影響をさぐり,麻酔と手術による影響を予測し,可能な限りの対策を講ずる.場合によっては手術の延期も止むおえない.麻酔中・手術中に発生すれば積極治療.まずハイポキシア・高炭酸ガス血症・酸塩基平衡異常・電解質異常のないことを確認.不整脈が興奮性昂進型(各種期外収縮)ならリドカイン(1.5mg/kgを3回まで)ついでβ遮断薬の順序.興奮性低下型(各種ブロック,ペ−スメ−カ−の下方移動)ならアトロピン(0.5mgを2回)ついでイソプロテレノ−ル点滴(0.1μg/kg/分).麻酔を浅くするのも有効.使用頻度はリドカインが多いが,「不整脈,即キシロカイン」では馬鹿の一つ覚え.



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諏訪邦夫

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