自動血圧計をルーチンに使って下さい.
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最近の自動血圧計の進歩は素晴しい.
正確で使い勝手がよい.
価格も性能の割りには安い.
麻酔中に関する限り,血圧を聴診器で測定する時代は終わった.“BP測定はやはり耳で聴くべき”というのは単純なノスタルジアだと考える.
自動血圧計の採用により,血圧をしっかりと捉えながら他の仕事を中断することなく進められる.
一方,自動血圧計を使うことによって,動脈カテーテル挿入の頻度をある程度は下げることが可能である.
自動血圧計のマンシェットに関して誤解っている.機能的には通常の手動用のものと“ほとんど”同一である.現在のものはただ空気の振動を本体側で測定しているだけなので,手動用と自動用とマンシェットを二つ巻いたり,回復室で手動で測定するためにマンシェットを巻き変えたりする必要はない.自動に使用するときは手動用のゴム球を締めておけばよい. ここで,自動血圧計のマンシェットが通常のものと“ほとんど”同一であって,完全に同一とはいえない理由は,前者は振動特性や振動の伝達特性などに細かい考慮が払われているからである.しかし,経験的にも理論的にも両者の差は極めて小さい.
もう一ついい理由は,測定者以外にも全員に数値がわかること.“コロトコフ音はよく聞こえないけれど,まあ血圧は80ということにしておこう”というようなインチキはありえない.
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諏訪邦夫
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