無侵襲の分光分析と脳の酸素配達モニター
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無侵襲の分光分析で,脳の酸素配達と循環動態をモニターする
[目的] 近赤外線分光分析で脳の酸素飽和度と脳の循環動態を無侵襲でモニターするに際して,必要な“アルゴリズム”(「算法」あるいは「計算論理」)を提示する.
[背景] 現在,研究室でははやりの方法であるが,それが臨床でどの位使い物になるか?
[使用機器] ミシガン州,Somanetics 社のもの.波長は650〜1100nm.光ファイバーの他に,電線が組み込まれていて,生体の他の情報と組み合わせることが可能である.たとえば,心電図と同期をとるというようなことができる.
[対象] 脳損傷で意識障害のある患者.
[方法] 脳の酸素飽和度と脳の循環動態を,in vitro 測定と比較する.インドサイアニングリーンを投与して,脳血流を測定する.特徴的な症例を提示する.研究は神経ICUで施行した.多波長赤外線分光分析計を頭蓋骨に伴創膏で固定して使用した.データは表面から深部に向かってのスペース分解法を適用した.飽和度の計算は深部シグナルを使用し,縦方向に測定した.同じ技術を使用して,トレーサーを静脈注射することで脳循環平均通過時間を解析できる.
[結果] 脳をひろく見たオキシメトリーと,採血による動脈血酸素飽和度の測定値は,飽和度23%から99%の間で強い相関があった.( r = .99, p< .001 ). 本法は使用が容易で,臨床に十分使える. オキシメトリーだけでなく,同時に脳血流通過時間も測定できる. 付録に,局所のヘモグロビン酸素飽和度測定と計算の手法を提示する.
[結論] 本研究により,脳の酸素測定に伴うとされた困難を克服し,in vitro 測定とよく一致した.
文献: McCormick PW, Stewart M, Goetting MG, Dujovny M, Lewis G, Ausman JI.Noninvasive cerebral optical spectroscopy for monitoring cerebral oxygen delivery and hemodynamics. Crit Care Med. 1991; 19: 89-97.
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諏訪邦夫
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