電子版麻酔学教科書

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  酸化窒素NOとARDSの治療 #5
投稿者  諏訪邦夫
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投稿日時  2001年02月10日 18時05分
酸化窒素NOとARDSの治療

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NOの生理作用
血管内皮皮に働いて血管拡張を起こす.

化学
生体内ではLアルギニンから合成される.作用を発揮した後は,ヘモグロビンと結合して

 NO+Hb ←→ HbNO
 NOHb ←→ Hb3+ + NO2-
 NOHb ←→ Hb3+ + NO3-
NO2-,NO3-は肝で代謝されて腎から排泄される.

投与:
NOの肺動脈圧低下作用を利用して,肺動脈高血圧症を招く疾患への治療が注目されている.

対象:
ヒトではARDS,体外循環離脱時,僧帽弁疾患,各種の心奇形など
動物では,正常のままの条件の他,敗血症,トロンボキセンチャレンジ,プロタミンによるトロンボキセン遊離での強い肺血管収縮などが研究対象

投与量:
5〜40PPM.ヒトではこの幅でいろいろ.動物では上限附近のものが多い.ヒツジを対象にして180PPMという高濃度を投与したものもある.

投与時間:
ほんの数分で有効との理由もある.せいぜい1時何時間から何いう戦争__程度

ガス交換の改善:
NOを吸入気にまぜて投与した場合の効果の中で際立っているのは,ARDS患者の血液ガス改善とくにPao2 の改善作用である.
通常の肺血管拡張性薬物は血液ガスを悪化させる.それと非常に異なる.理由としては,吸入で投与する点にあると考えられている.ARDSではV/Q不均等が血液ガスを悪化させるが,NOはV/Qの大きい部位に入ってその血管を開くので,V/Qの均等化を起こすからである.

臨床的意義:
現時点(1993年)では明確ではない.非常に重要と考える面もあるが,メトヘモグロビン生成をはじめとする問題が重要で未解決である.


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諏訪邦夫

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