輸血の種類と使い分け
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保存血の欠点 強い酸性(pH7以下,Pco2 200以上)はクエン酸が代謝されるまで続く. 凝塊を造り肺に塞栓を起す(肺の損傷:マイクロフィルタ−はかなり有効). 凝固因子欠如(特に第X,[因子が少ない). 赤血球の脆弱性. 2,3DPG低下(酸素解離曲線左方移動) Kイオンは保存状態では高値だが,加温して輸血した場合は直ぐに赤血球内に移動する.従って,輸血はKイオンを投与したことにはならない.
濃縮赤血球 全血から血漿部分をできるだけ除去したもの.実際は全血に比較して血漿は1/3であり,ヘマトクリットは70%位である. 分量は,200mlの全血分が100〜130ml程度になる.
使用の対象: 血漿はあまり必要ないとか,血漿は投与したくないが赤血球は必要,という状態で使用する.
実例: 貧血・心疾患患者(循環系の過負荷を避けたい) 肝疾患(クエン酸の代謝不良) 慢性アシド−シス患者(保存血の酸過量を避けたい)等.
最近では血漿製剤への需要が増大しているので,こちらの使用を強いられることが多くなってきた.
新鮮凍結血漿(FFP) FFPは”fresh frozen plasma”の略である.採血分離後にすぐ凍結して血漿成分をできるだけ保存し,使用直前に解凍して投与する. 成分の保持はかなり良好ではあるが,それでも血小板と凝固因子のなかの不安定なもの(第X及び第[因子)の量は多くはない. 熱処理などの過程を経ていないので,感染に対しては必ずしも安全ではない.
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諏訪邦夫
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