電子版麻酔学教科書

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  輸血の種類と使い分け #31
投稿者  諏訪邦夫
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投稿日時  2001年02月10日 21時37分
輸血の種類と使い分け

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保存血の欠点
強い酸性(pH7以下,Pco2 200以上)はクエン酸が代謝されるまで続く.
凝塊を造り肺に塞栓を起す(肺の損傷:マイクロフィルタ−はかなり有効).
凝固因子欠如(特に第X,[因子が少ない).
赤血球の脆弱性.
2,3DPG低下(酸素解離曲線左方移動)
Kイオンは保存状態では高値だが,加温して輸血した場合は直ぐに赤血球内に移動する.従って,輸血はKイオンを投与したことにはならない.

濃縮赤血球
全血から血漿部分をできるだけ除去したもの.実際は全血に比較して血漿は1/3であり,ヘマトクリットは70%位である.
分量は,200mlの全血分が100〜130ml程度になる.

使用の対象:
血漿はあまり必要ないとか,血漿は投与したくないが赤血球は必要,という状態で使用する.

実例:
貧血・心疾患患者(循環系の過負荷を避けたい)
肝疾患(クエン酸の代謝不良)
慢性アシド−シス患者(保存血の酸過量を避けたい)等.

最近では血漿製剤への需要が増大しているので,こちらの使用を強いられることが多くなってきた.

新鮮凍結血漿(FFP)
FFPは”fresh frozen plasma”の略である.採血分離後にすぐ凍結して血漿成分をできるだけ保存し,使用直前に解凍して投与する.
成分の保持はかなり良好ではあるが,それでも血小板と凝固因子のなかの不安定なもの(第X及び第[因子)の量は多くはない.
熱処理などの過程を経ていないので,感染に対しては必ずしも安全ではない.


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諏訪邦夫

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