サクシニルコリンは何故大量に使うか
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分子量 初回投与量 サクシニルコリン 397 1mg/kg パンクロニウム 732 0.06mg/kg ヴェクロニウム 638 0.1mg/kg d-トボクラリン 771 0.4mg/kg アルクロニウム (ディアルフェリン) 737 0.2mg/kg
これでみると,サクシニルコリンだけがずば抜けて投与量が多い.特に,分子量が小さいことを考慮すると,モル数でいってヴェクロニウムやパンクロニウムの20倍である.
この理由は三つ考えられる.
サクシニルコリンはNMJに到達しにくい? たとえば,クラーレは血中からNMJへの移行がよくないことが知られている. しかし,サクシニルコリンの拡散が特にむずかしいと考える理由は乏しい. サクシニルコリンは血漿で壊されるので,NMJに移行する部分が少なくなる. NMJへの親和性が低い. 1)は根拠が薄弱だが,2)と3)は正しいと考える根拠がある.
以上の想定は一部は判明しているが,わかっていない部分も多い.メカニズムが判明しないまま,サクシニルコリンの寿命が終わりそうである.
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諏訪邦夫
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