サクシニルコリンの発見
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サクシニルコリンが麻酔に使われるようになったのは1952年.
その直前にイタリアのボヴェーとアメリカのフィリップスが作用を発見. それを受けて麻酔医が臨床使用を開始した.
物質としてのサクシニルコリンの発見 しかし物質としてのサクシニルコリンは,それよりはるか以前の1906に合成されて,作用が検討された.それなのに筋弛緩薬としての作用が知られていなかった.当時は自律神経系の研究が盛んで,サクシニルコリンはアセチルコリンと化学構造がにているので研究の対象となり,合成されて作用が検討された.
当時の研究者は自律神経への作用をもとめていたので,クラーレを与えて麻痺しておいた動物で実験したので,サクシニルコリンの筋弛緩作用を見落した.
科学の歴史をみると重大な発見をすんでのところで逃している残念な例が数多くあるが,これもその一つ.おかげでサクシニルコリンは使用開始の時点から特許が切れており,急速に普及した.
蛇足の読み物として下を参照. 絶好のチャンスを逃したのではない話
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諏訪邦夫
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