本書の意図 本書の意図は,“現代のテクノロジーにあった教科書の形式を模索する”ことです.やや大げさにいえば,“今後の教科書のあり方を示す”といってもいいでしょう. コンピュ−タを使う方々は,“麻酔学の教科書や辞書の電子化”“電子化された教科書や辞書”をイメージしているでしょう.広島大学の讃岐先生の“麻酔メモ”や阪大の萩平先生の“マニュアル”が先駆的なものですが,通常の教科書とはやや違っています.つまり,電子教科書を考えてはいても,イメージそのものが明確になっておらず,まして現物はまだできていないということです. そこで,実際につくるべくパソコンの仲間,エーテルネット(麻酔医を中心としたパソコン通信のネットワーク)の仲間などに呼びかけることも考えました.みんなで少しずつ充実したものを書いて,全体として大部のもの,内容もしっかりしたものに仕上げれば理想的です. それにしても,呼びかける私自身がイメージをはっきりさせる必要があります.それではじめて,自信をもって呼びかけられるというものです.呼びかけられる側も,見本やたたき台があった方が好都合です.そこで,自分の中途半端仕事に手を加えて一応完成して公開し,その役割を勤めさせることにします. つまり,この本は“電子版麻酔学教科書”の試作品として,公開提供するということです.
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諏訪邦夫
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