本書の背景と経過 1975年ころから,麻酔学の教科書執筆を考えていました.2,3の出版社から依頼も受けていました. しかし,麻酔学の教科書はいかにも多数あります.それを上回る自信もありません.手はつけたものの,進行は遅くなかなか完成にいたらず,出版も逡巡していました.逡巡するから進行がさらに遅くなります. 丁度,パソコン時代になり,データベースの勉強をしたときに,データベース形式で書いてみましたが,挫折しました.当時のデータベースソフトはいかにもひ弱で,長い文章が許されませんでした.辞書が使いにくかったのも記憶しています.まだ,FEPのなかった頃のことです.項目によっては名残りがみえるものもあるでしょう.この時点では“データベースを利用して執筆する”のであって,出来上がったものを電子形式で配布するということは考えてはいません. その後,パソコンの性能が向上してハードディスクが自由に使えるようになり,ラップトップやノートパソコンを手に入れ,さらには通信やCDーROMにも手をそめて,“麻酔学の辞書や教科書を電子化したい”と考えはじめました.依頼原稿の解説ものや,著書や翻訳で原稿を書くことに慣れたり,自著の原稿がたまったのも理由でしょう.
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諏訪邦夫
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