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東麻酔研究所 質問集(詳細画面)


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タイトル:大腿部頚部骨折のオペはなぜなぜ全身麻酔なのですか?
ご質問 :私は整形外科で働いていますがひとつ疑問があります。それは大腿部頚部骨折のオペがかなり多い整形ですが、うちの病院の場合全て全麻でやっています。かなりの高齢の患者でも全麻です。これって不思議でしょうがないんですよね。ルンバール
で十分だと思うんですが・・・・・ また麻酔中はなんで血糖値があがるのです
か、教えてくださいませ。
返信文 :現在の麻酔料金(保険点数)の問題が大きいかもしれません。

平成14年4月版では、麻酔料金は以下のようになっています。
 全身麻酔:2時間まで6100点(61000円)、以後30分ごとに600点(6000円)
 硬膜外(頚、胸部):2時間まて1500点(15000円)、〃750点(7500円)
 硬膜外(腰部):2時間まで800点(8000円)、〃400点(4000円)
 硬膜外(仙骨部):2時間まで340点(3400円)、〃170点(1700円)
 脊椎麻酔:2時間まで850点(8500円)。以後30分毎に127.5点(1275円)です。
 
 つまり全身麻酔ですと、6万円程度かかりますが、脊椎麻酔(ルンバール)だと8500円となるわけです。
 もともと脊椎麻酔(ルンバール)は、麻酔科医以外が行うことが多かったので、全身麻酔に比べ、脊椎麻酔がこんなに安い料金になってしまったのでしょう。
 しかし、現在では、全身麻酔ではできないような状態の悪い患者さんも、ルンバールでなんとか、麻酔することもあり、全身麻酔よりテクニックを要し、大変なこともあります。
 一方病院経営の面では、脊椎麻酔を専門の麻酔科医を雇って、麻酔をおこなうと、まったく赤字になってしまい経営が成り立ちません。
 全身麻酔より、ある面では高度な専門的テクニックを要するルンバール(脊椎麻酔)が、信じられないくらい安い料金設定になっているという矛盾があるのです。
 ですから、ルンバールで十分と思われる症例でも、全身麻酔がおこなわれるのかもしれません。
 またこのため脊椎麻酔は、麻酔専門医以外が行わざるを得ない状況も生じ、場合によっては、麻酔事故の原因ともなっています。
このあたりの事情は、当ホームページの
http://higashi.org/suwasab.htm
に詳しく述べた一文がありますのでご参照ください。
 
 もちろん患者さんのご希望や、手術中の負担を考慮してルンバールに全身麻酔を併用したり、または全身麻酔だけで麻酔をおこなうことも多いのではないでしょうか。
 
 どのような麻酔方法をとろうと、専門の麻酔科医が麻酔をおこなえば、麻酔料金が同じになるようなシステムにならなければ、現在の矛盾は解決されないでしょう。
 そうなれば、本当に患者さんにあった麻酔が、もっと自由に選択できるようになるのではないでしょうか。
 
 血糖に関しては、よくわかりませんが、ストレスや、麻酔中に糖分を含む輸液が多くはいるからではないでしょうか。

麻酔の保険点数表は
http://202.214.127.148/guest/plsql/SeShowResultSP?kubunA=L
でご覧いただけます。

L004-00が脊椎麻酔で 850点(8500円)。
L008-00が代表的全身麻酔で 6100点(61000円)
です。
この価格差の割に、リスクや管理のテクニックに差がなく、現在の点数では麻酔科医に脊椎麻酔をやらせると採算があわなくなります。
ここに大きな問題があります。

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