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東麻酔研究所 質問集(詳細画面)


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タイトル:RSD(反射性交感神経性ジストロフィー)の治療法は?
ご質問 :母のことで悩んでいます、母は現在RSDという病気のため麻酔科に通院中です。電気刺激装置も使用していますが、思ったほど症状の改善がみられず母自身も、家族も落ち込んでいます。痛みは解ってあげられないけれど、RSDについて、またその治療法について勉強したいと思いますので教えて下さい。それから、RSDの患者団体のようなものがあれば教えて下さい。
返信文 : RSDは reflex sympathetic dystrophy の略で日本語では反射性交感神経性ジストロフィー(異栄養症、萎縮症)といいます。最近では、この呼び方から、CRPS:complex regional pain syndrome日本語で複合性局所疼痛症候群?に移行しているようです。
 ちょっと専門的になりますが、「局所的に起こった損傷に引き続いて発症する疼痛性の病態であり、予想される通常の創傷治癒の経過を越えて続き、たびたび著明な運動機能の減退を起こし、時間とともにさまざまに進行する症候群」と定義されています。
 わかりやすく言いますと、皮膚を切ったり骨折した後、皮膚や骨折は治ったものの、痛みだけが残り腫れや骨の萎縮が起こり、なかなか改善しない状態です。多くは交感神経(自律神経で血管を収縮させる作用がある)が関係していると言われています。
 皮膚切開や骨折など、明らかな神経損傷がなくて生じる場合を Type I(以前はRSD(反射性交感神経性ジストロフィー)と呼ばれていたもの)、神経が傷つけられた後に生じる場合をType II(以前はカウザルギー(causalgia:灼熱痛)と呼ばれていたもの)と分けられています。トトロさんのお母さんの場合は、CRPS Type Iにあたるかもしれません。
 
 治療法は、この交感神経を抑制することが主ですが、一旦発症してしまうとなかなか治療は困難なようで、予防が第一といわれています。麻酔科では、硬膜外ブロック(脊髄のそばに局所麻酔薬を注入する方法)、星状神経節ブロック(首のつけねのところに局所麻酔薬を注入する方法)、低周波針治療(痛む所に細い針を刺して電気を周期的に1分間に50-100回程度流します)、薬物療法(副腎皮質ホルモン:ステロイド、抗うつ薬、静脈麻酔薬:ケタミン、麻薬等)等が行われています。
 しかし決定的なものはなく、ケースバイケースで患者さんの反応をみながら対応しなくてはならないようです。団体については、よくわかりかねます。

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