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東麻酔研究所 質問集(詳細画面)


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タイトル:人工妊娠中絶の麻酔について
ご質問 :昨日産婦人科で、人口妊娠中絶の手術を受けて来ました。
1年前にも別の医院で同じ手術を受けたのですが、麻酔方法も手術方法も前回と違ったようで、いろいろ違いを感じ興味がわいたのですが、調べ方がわからないうちここに辿り着きました。
前回は点滴から薬を入れる方法?で麻酔しました。薬を入れる時に「少し味がするけど」と言われ、口のなかにホワっと味というか匂いのようなものが来た瞬間にはもう意識が遠のいていました。記憶の限りでは、指先につけるクリップみたいなものだけで術中の状態をみていたようです。今回の方は、マスクから気体を深呼吸で吸入する方法でした。点滴をして、指先のクリップもして、腕に血圧計を巻いて、心電図もとりながらでした。
今回麻酔の前に、少し夢を見ることがあると言われました。その通り結構長い時間、どちらかと言えば「悪夢」を見ていて(自意識的には術中ずっと?と思うくらい長く感じました)、「終わったよ!」と呼ばれたその時まで続き、汗をかき苦しみながら覚醒した気がします。夢はなんだか思想的な、生命の誕生と宇宙に関するような内容で、映像的にはCGっぽい妙なものでしたが、中絶の手術を受けていることを強く意識しながら組み立てている感じがしました。いろいろなことを詰問調に問いかけてくる声があり、罪の意識に嘖まれている自分のせいなのでしょうが、責められてとても疲れるものでした。また、おぼろげながらお腹の中で何かしているような感覚と、ごく軽い鈍い痛みもあり、看護婦さんの声なども途切れ途切れ聞こえた気がします。
数時間横になった後の診察で夢を見たか、「自分が小人になって自分の体のなかに入って行くようなもの」だったかと聞かれ、もっと無機質な映像だったと伝えましたが、小人の夢、またはセックスに結びつくような夢を見る患者さんが多いそうで、場合が場合だけに気分が良くない人が多いらしく、その薬の使用について迷っているとお医者さんがおっしゃっていました。
前回の手術の時、覚醒間近にやはり夢は見ましたが、もう少し曖昧なもので、内容は今回とそう遠くない気もしますが気分の悪いものではなく、ただ号泣していたらしく、「ティッシュはここにあるからね!」という看護婦さんの大きな声で覚醒した覚えがあります。
前回と今回の麻酔の薬は違うものなのでしょうか?違うとしたら、迷いがありながら今回のお医者さんが使われた薬は、何か体の負担が軽いなどのメリットがあるのでしょうか?手術の方法について今回説明があり、吸引法と掻爬を組み合わせたものということでしたが、前回特に説明を受けていないので掻爬のみの方法だったと思うのですが、それによって適する麻酔もあるのでしょうか?あと前回なかった血圧計と心電図は薬による差なのか、今回が丁寧だったということなのか・・・。
私としては前回の手術のほうが気分も体も楽だったのですが、覚醒後も前回は眠れ、今回は気分のせいか眠れませんでしたし。ただ今回のお医者さんのほうが人間的に信頼できるというか信頼したい気になる方なので、今後お世話になるなら(もちろん今度は別の用件で・・・)今回のお医者さんを選びたいと思っていて、違いが麻酔によるものなのかどうか是非知りたいのです。産婦人科の麻酔のことをここで尋ねるのは筋が違うかもしれませんがどうかよろしくお願いします。(微妙に下の方への回答とだぶるような気もしますが私にはよくわからないのですみません。)
返信文 :まずどのような麻酔でも、血圧計、心電図、指先につけるクリップ(酸素飽和度計)は、安全のために必要です。
このようなチェックのないところでの麻酔は、危険が大きいといわざるをえませんね。
麻酔方法に関しては、なんともいえませんね。
たぶん前回は点滴から入れる麻酔(静脈麻酔)で行われ薬剤は、イソゾールやラボナールというお薬で麻酔されたのではないでしょうか。
そして今回は、麻酔ガスを吸うことによって麻酔がかかる吸入麻酔とよばれるものではないでしょうか?
感じ方は、個人差があり様々です。
ただ吸入麻酔のほうが、麻酔後の吐き気、頭痛、不快感は静脈麻酔に比べ少し強いようですね。
5−10分程度の短時間の手術なら、前回のような麻酔で十分かもしれません。
しかし、もう少し時間がかかりそうだと今回の場合主治医が判断され、そのためにより長時間安定して麻酔ができる吸入麻酔を選択された可能性はありますね。

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