タイトル: | 硬膜外麻酔時の不慮の硬膜穿刺について |
---|---|
ご質問 : | 高校1年の娘が「卵巣のうしゅ」と診断され7/13日摘出手術をうけました。手術は成功し術後の傷もだんだん良くなっているのですが,麻酔の後遺症でベットからおきると頭痛と吐気を訴え出し,数日(11日間)寝たままの食事生活を送っていました。麻酔科の先生に説明を求めたところ,全身麻酔と硬膜外麻酔(痛みどめを併用するため)をした際にチューブにより膜を傷つけ髄液が漏れているのではないかと推測される。(麻酔を行った時に足がビクンとなつたことを本人が訴えていることと手術後その日の内に足のかかとのしびれを訴え痛み止めようのチューブを取ってしまつたことなどがあった(神経に触っているかも知れないともいっていた))そのため脳が引っ張られ頭痛や吐気が出ていると思われる。そのような場合でも1日くらいで通常は塞がるが,まれに,直りにくい人もいる。様子を見ましょうとのことであったが,最近1時間くらいはフラフラしながら立てるくらいになりましたがいい時,悪い時の波があります。これは医療ミスではないのですか?後遺症はないのですか。このままで時間がたてば直りますか? |
返信文 : | 硬膜外麻酔は難しく、硬膜という膜の数ミリ手前で針先をとめるいわば「寸止め」麻酔ですから、当然膜硬を破る可能性はある程度の頻度で起こりうることで、致し方ないこととお考えください。 (麻酔科医も、何とか術後にあまり傷が痛まないようにと懸命に頑張ったのではないでしょうか。) また針を刺すときだけでなく、チューブを入れる時に、たまたまチューブの先端が硬膜をやぶったり、すこし傷つけたりすることもあるようです。 チューブから、髄液がかえってきた場合には、硬膜外麻酔は断念し、チューブを抜き、全身麻酔のみの麻酔となります。 硬膜に穴があくと、髄液がもれて、娘さんのように頭痛が持続する場合もあります。 通常は、10日もすれば、改善するようですが、中には長引く方もおられます。 一度麻酔科のペインクリニックを受診されてみてはいかがでしょうか。 追加: 2002年の日本臨床麻酔学会(山梨)での福岡大学の報告では、 http://wwwsoc.nii.ac.jp/jsca/jsca22/poster/p1041_1045.htm#1-044 「偶発的硬膜穿刺の頻度は全硬膜外穿刺3970症例中28例(0.71%)であった。」 となっています。 |
Copyright (C) 2001-2018 Kanemitsu-Higashi All Rights Reserved.